万葉歌 恋力 「ち」力のもと

2019年6月18日

新元号令和が発表されました。

万葉集を参考に決定されたということで、これから万葉集を実際に手に取ったり、好きな歌を見つけたりする人が増えるとうれしいです。

万葉集は恋愛の歌ばかりと思われがちですが、4416首も収められているので、その歌の内容は多種多様です。

また、今と変わらない状況や心情が切り取られているものと出会うと、一挙に時空間を超えて今の自分とつながっている感じがして、楽しいものです。

おもしろい歌もたくさんあるので、これからも私なりに紹介していけたらと思っています。

「力」はどこから

このころの 我が恋力 印(しる)し集め 功に申さば 五位の冠(かがふり)

(巻十六・三八五八 作者不詳)

「近頃の私の恋にかける力をかき集めて功績として申請したら五位の位はもらえるだろう」

当時の役人の生活や心情が今の私たちにも違和感なく伝わってきます。

仕事もがんばりつつ、素敵な出会いを求めて動いたり、意中の人にマメにアピールしたり、ご機嫌を取ったりと、我ながらその努力も相当なものだな、と仲間と笑いあっていることでしょう。

それにしても恋力とはよく言ったものです。

こんな力がどこから湧いてくるのか、どうしてこんなにかきたてられるのか、今の我々ですら実感として受け取ることがます。

「これぞ私の恋力よ!」と今現代にもそのまま使用できますね。

「火事場の馬鹿力」などと使われますが、最近は「目ヂカラ」や「人間力」「女子力」など、○○という表現をよく見ます。

ここ一番という時に、自分らしい強み、内側から湧きあがる何かや、一瞬ぶれることがあってもちゃんと戻れる軸になるような、「自分力」(?)をこれからは磨いていくべき時代でしょう。

「ち」の音の意味

「ち」のつく言葉でまず思い浮かぶのが大地の地。多くの恵みのもとであり、我々はこの地球とつながり生命を営んでいます。

そして「霊」とも読みます。オロチ(大蛇)、イカヅチ(雷)、ミヅチ(水霊)、ミツチ(蛟・水中に棲むとされる想像上の動物)などのチで自然現象や生物の神秘的な力を表しています。

とすると、大地の地も恵みをもたらす偉大さと共にマイナスに作用すると地震などの人知に及ばない災害も引き起こされてくるのも頷けます。

また同じく「血」や、白い血液といわれる「乳(ち)」も、生命の根源に備わっているものの凄さを感じ取ることができるでしょう。

「力」という文字、言葉はもうそれ自身にチカラが宿っているかのように、目や耳にするだけでぐわんとそれが湧いてくるような気がしませんか。

自分の予想をはるかに超え、見えない世界の何かまで味方につけてゆく言霊、音霊そのものかもしれません。